それでも君と、はじめての恋を
▽逸る足先
「決まらないぃぃいい!!」
日曜日の11時を過ぎた頃、あたしは自分の部屋で叫んでいた。
どこのショップかというくらい大きい全身鏡の前で、身にまとった服を眺めてはベッドに脱ぎ捨てる。
そんなことをかれこれ2時間以上、正しくは昨晩も同じことを繰り返していた。
「おにぃ!!」
「んー? 何だ渉、まだ決まんな……」
「ショーパンとスカートどっちがいいと思う!?」
おにぃの部屋に突撃して、テーブルの近くに座り込む。きっとあたしの顔は必死そのものに違いない。だって今日はモモと初デートなんだから!
「えー。足見せでいくの? レギンスかスキニーにしようぜ」
「何で!?」
「だって週5でスカート見てるし。特に新鮮さとかないじゃん」
読んでいた雑誌を閉じてあたしと向き合うおにぃに、眉を寄せる。
そうなの? 新鮮さとかモモが求めるとは思えないけど、でもやっぱ男の子は生足好きなんじゃないの?
知らないけど! 世間一般の大多数にモモが当てはまるとは思えないけど!
「俺はヒラミニが1番好きだけどねー」
聞き慣れた声に顔を上げると、よく我が家へ遊びに来るおにぃの友人がマグ片手に部屋に入ってきた。
「佐野くん、来てたんだ」
「久しぶりー。で、何。噂の初彼と初デート? 遅くね?」
「うるさいっ!」
持っていたショーパンを投げ付けると、佐野くんはケラケラと笑う。
「まあ渉はそこそこ足綺麗だし細いし、隠してもいいんじゃん?」
「そこそこってヒドイ……!」
そりゃ特別細くもないけど太くもない! おっしゃる通りそこそこですね!