それでも君と、はじめての恋を
*
「じゅ~んっ」
ニコッと笑顔を作りながら、「な~に?」と笑顔を返してきた純の手の甲にシャーペンという凶器が向かう。
「イタッ! 何!? チクッとした!」
「ウケる。ナイス、渉」
今までどこに行ってたのか、放課後になって教室に現れた純に制裁をくわえてやった。
「いきなり何するのさぁ~!」
「アンタが女に刺される時はそんなもんじゃ済まないから」
葵の横で手の甲をさする純を鼻で笑ってから、軽いカバンを持つ。
「昨日の恨み晴らしたから、帰ろーっと」
「渉ぅ。すぐ怒る女は嫌われちゃいますよ~」
頬を膨らませる純に、葵は「自業自得」と笑った。あたしは携帯を開いて、時刻を確認しながら葵に話しかける。
「葵、今日もデートだよね?」
「デートってか、七尋のバイト先に遊びに行くだけじゃん。渉も来ればいいよ」
サラリと言う葵だけど、絶対行かない。だっていくらバイト先とはいえ彼氏が休憩に入ったら、あたし邪魔じゃん?