それでも君と、はじめての恋を




「じゅ~んっ」


ニコッと笑顔を作りながら、「な~に?」と笑顔を返してきた純の手の甲にシャーペンという凶器が向かう。


「イタッ! 何!? チクッとした!」

「ウケる。ナイス、渉」


今までどこに行ってたのか、放課後になって教室に現れた純に制裁をくわえてやった。


「いきなり何するのさぁ~!」

「アンタが女に刺される時はそんなもんじゃ済まないから」


葵の横で手の甲をさする純を鼻で笑ってから、軽いカバンを持つ。


「昨日の恨み晴らしたから、帰ろーっと」

「渉ぅ。すぐ怒る女は嫌われちゃいますよ~」


頬を膨らませる純に、葵は「自業自得」と笑った。あたしは携帯を開いて、時刻を確認しながら葵に話しかける。


「葵、今日もデートだよね?」

「デートってか、七尋のバイト先に遊びに行くだけじゃん。渉も来ればいいよ」


サラリと言う葵だけど、絶対行かない。だっていくらバイト先とはいえ彼氏が休憩に入ったら、あたし邪魔じゃん?
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