それでも君と、はじめての恋を
冬休み明けの教室は騒がしく、雪がちらつく外の寒さを感じさせないほど熱気に包まれていた。
ドアを閉めるとクラスメイトが話し掛けてくる。
「渉、あけおめ〜!ってもう言わないか。冬休みどうだった?」
あたしは赤いチェックのマフラーをはずしながら、教室の中心に集まる女子の輪の中に向かった。
「どうって、普通だよ。太りはしたけど」
「マジで! あたしもだけどー」
ケラケラ笑う友達に笑い返すと、次に発せられた言葉にコートを脱いでいた手が止まってしまう。
「……なんて?」
「だぁーからぁ! 冬休みの出会い、あったでしょ?」
「武勇伝聞かせろーっ」
興味津々で聞いてくるクラスメイト達に、自分の口元が引きつるのが分かった。