それでも君と、はじめての恋を
……うわ!
メイクよれてるっ。
揺れる電車の中で目のかゆみを覚えて鏡を覗くと、真っすぐ引いたはずのアイライナーが崩れていた。
慌ててポーチの中から綿棒を取り出して、メイクを直す。
「……」
無駄にデコられた鏡に映る自分を何度か瞬きしながら見直して、鏡を閉じた。
巻きも落ちてたなぁ……。
ヘアスプレーを前のに戻そうと考えながら、ふと同じ車両の端に見えた人影に目を見開く。
……桃井くん!?
ドアを横にして立っているピンクブラウンの髪をした後ろ姿は、あたしが仲良くなりたいその人に間違いなかった。
……嘘。同じ電車だったんだ!