それでも君と、はじめての恋を


「……ん?」


モモが黙って見てくるから聞き返すと、どうやらダッカールで髪を束ねてるのが目新しい様子。


自分の髪を指差したモモに「ああ」と返事をして、髪を解いた。


「髪伸びて、エクステも傷んできたなーって話してたの」

「ほんで俺ら今月ピンチだ~って言ってたんだよねぇ」

「……金ないってこと?」

「そそ。まぁ本気でピンチなのは渉だけだよね~」


オイ! 余計なことを言うな!


自分の机の端に浅く腰掛けていたモモは純の返事を聞いて、あたしの目の前にやってくる。


ジッと見下ろしてくるモモの威圧感ハンパないんですけど……。


「あ、でも別に遊べないほどピンチってわけじゃないよ!」

「……」


無視ですか。

お金なくても俺と遊びたいと思ってくれてるんだ。とか、ちょっとくらい思ってくれてもいいよ?

ていうかあたしじゃなくて彼女のつむじ見てますネ。



「ちょっとゴメン」

そう言ったモモの手が急に首に触れたから、ピクッと肩を跳ねさせてしまった。


「え、な、何?」


感覚で分かる。モモはエクステと自毛の編み目を触っていた。


「超音波じゃなくて四つ編み?」

「え、うん……よく知ってるね」


スルリと手を退けたモモを見上げながら、自分でも編み目に触れる。自毛が伸びたのと、エクステを付けて1ヵ月以上経っているせいで緩くなっていた。


「来月でいいなら」

「……何が来月?」


ていうかモモの口から四つ編みとか出てきたのが驚きなんだけど。


髪いじるの好きなのは知ってたけど、まさか超音波まで出てくるとは……。
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