それでも君と、はじめての恋を
「ていうかぁ、なんで桃井〜? ココアぶっ掛けただけでしょ~?」
「そこから、なんで仲良くなりたいってなるの。意味不明」
「えぇ? だって桃井くん面白いよ?」
そう言ったあたしを、2人は怪訝そうに見つめてくる。そんなに変なことを言ったつもりはないのに。
「あのね、桃井くんって噂ほど怖くないし、ちゃんと表情もあるんだって! 話しかけたらちゃんと答えるし、噂は誤解だと思うんだよね。ふたりも喋れば分かるよ!」
桃井くんのよさを分かってほしくて熱弁するけど、葵も純も興味なさそう。
というより、あたしが桃井くんの話をするのを嫌がってるみたいに感じる。
「……俺ぇ、渉が桃井と仲良くするの反対だなぁ~」
「あたしも。桃井って、素性が分かんないし」
「なんで!? てか葵、あたしがお詫びしに行った時は何も言わなかったじゃん!」
「だってあれは、お詫びじゃん。仲良くしたいなんて言い出すとは思わなかった」
なんで反対されなきゃいけないの!
ムスッとするあたしの肩に、ヘラヘラ笑う純の腕が回される。