それでも君と、はじめての恋を
「とにかくさぁ、近付かないほうがいいよ? 得体知れないし〜、不気味じゃ〜ん」
「純は桃井がイケメンだから気に食わないだけでしょ」
「えぇ〜。俺、桃井よりカッコいいでしょ? ね、渉〜!」
同意を求める純に、なんの感情も湧きはしない。口の中に泥団子詰めたいとかは思うけど。
桃井くんと喋るほうが何倍も楽しく感じるし、純の締りない笑顔と軽い発言にイラッとするのが日常なんですけど?
「純、キモイ」
「え〜。キモイとか言うの、渉と葵だけだよ~?」
「アンタさ、他の子にも同じように言ってんでしょ? 言われないわけ、キモイって」
葵の発言に「言われるわけないじゃ~ん」とケラケラと笑う純。
あたしも葵も顔を見合わせて、純のどこがいいのか分からないと本人を目の前にして話し始める。
純が自ら自分のいいところを発言する度、あたしは頭の中で桃井くんと比べていた。
ほぼ全て、桃井くんのほうが勝ってる。
ただひとつ、友達の多さは負けちゃったけど。
だからこそ、あたしは尚更桃井くんと仲良くなりたいと思うんだ。