それでも君と、はじめての恋を
――う、わ!
自販機が見える距離まで来たところで、あたしは目ざとく桃井くんを見つけてしまう。
自販機の前に立つ桃井くんは背が大きくて、髪色もピンクだからか目立っていた。
なんだろう……オーラがあるよね。まあちょっと黒いオーラなんだけど。
「桃井くんっ!」
小走りに駆け寄ると、ちょうど取り出し口に手を入れてた桃井くんは振り返った。その手には、コーラ。
「矢吹」
コーラ、好きなんだね。
そう出かけた言葉を、あたしはあっさり飲み込む。おまけに、目まで見開いてしまった。
今、なんて言った?
……矢吹って言った?
「名前! 覚えてくれたの!?」
あたしの勢いに、桃井くんは少しのけ反ってから頷く。
うわー! うわー! 嬉しい!
「桃井くんっ、コーラ好きなの?」
自分でも分かるほどの笑顔で聞くと、桃井くんは「多分」と答えた。