それでも君と、はじめての恋を
「やったー! 勝ったぁ!」
思い切り両手を上げると、持っていたペットボトルと缶コーヒーが激しい音を立てて地面に叩きつけられる。
「「……」」
桃井くんはあたしを真顔で見つめたまま、あたしは両手を上げたまま固まる。
顔から火が出そうなあたしを気にする様子もなく、桃井くんは落ちたものを拾ってくれようとしたのか、しゃがみ込んだ。
「ご、ごめん……はしゃぎすぎた」
慌ててしゃがみ込んでへこんだ缶コーヒーを拾うと、桃井くんはあたしにペットボトルを差し出して、僅かに目尻を下げる。
「負けた」
「……」
手に拡がるペットボトルの温かさよりも、顔に広がる熱が体の芯まで熱くさせた気がした。
もう1本のペットボトルをあたしに渡して立ち上がる桃井くんに、どうしようもなくドキドキしてしまう。
熱に翻弄されながら腰を上げると、桃井くんはあたしを見てまた少しだけ微笑んだ。