それでも君と、はじめての恋を
……今度?
今度って言った?
じゃんけん、またするの?
ていうか今、もしかして恥ずかしそうにした?
何? なんで? 何が?
「遅い渉〜! 早く持ってこいっ」
遠くから響いた声にびっくりしながら振り返ると、窓から身を乗り出す純の姿があった。
慌てて7組の前に向かうと、純と向かい合って座っていた葵が廊下に立つあたしを見上げて首を捻る。
「何ニヤけてんの?」
缶コーヒーを受け取った葵の言葉にドキッとして、慌てて口元を隠した。
「ニヤけてないっ」
窓を閉めてから教室に入ると、純が意地悪そうな笑顔を見せる。
「まっさか、負けたのに喜んでるぅ〜? さては渉、ドMだな?」
ビシッとあたしを指差す純を無視して、ふたりの隣に椅子を引っ張って座った。黙るあたしに葵も純も不思議そうにしているけれど、絶対に教えてあげない。
「何? なんかあったの?」
「反抗期ですか〜渉ちゃ〜ん」
「別に! 次は、負けないから!」
本当は、負けてもいいけど。