それでも君と、はじめての恋を
「モモだってさっきあたしにしたでしょ?」
「……そういう問題じゃ……」
「真っ赤なモモ、好き」
「あー……うるさい見なくていい」
顔を背けられても笑顔を絶やさないでいると、モモはちらりと視線だけよこして眉を寄せる。
睨んでる? 全く怖くないから、受けて立つけど。
「ねえモモ」
「……何」
「好きって言って」
またそれか……とでも言いたげなモモはちょっと強気な顔をして、あたしに負けじと対抗してきた。
「言わせんの、なし」
「ダメ。言って」
間髪いれずに対抗し返すと、だらりとモモの頭が下がる。
「言わなくても分かるだろ……」
「……」
新しい返し方にポッと頬が染まってしまったけれど、意地の悪いあたしはモモの顔を覗いた。
「分かんない」
嘘だよ。好きって言えないモモのことも好きだよ。それがモモだって知ってるから。
そんなモモのこと、見失わずにいたい。
急がなくていい。
ゆっくりでいいよ。
手を繋いで、歩調を合わせて並んで歩くような、そんな恋愛をモモとしたいから。
つたないことばかりで何もかも上手にこなせたわけじゃないけど、あたしとモモはそんな風に付き合ってきたって思うから。
これからもふたりのペースで思い出を重ねていけたら、すごく幸せ。
だけどこんなあたしだから。ひとりで盛り上がって、暴走して、勘違いして、空回りしちゃう時もあるかもしれない。
だからね、モモ。
きっとこれからも困らせてしまうと思うけど。
「あと10秒以内に言って」
「……ほんと、勘弁して」
あたしの初めては全部モモだから、許して?
なんてね。
.+゚*FIN*゚+.