それでも君と、はじめての恋を
キャップを開けて、温かいミルクティーを一口飲んでから机に置いた。
このミルクティーを見るたび思い出してしまいそう。笑った、桃井くんを。
じゃんけんをするたび、桃井くんが言った言葉を思い出しそう。
「え、渉? ほんとにどうしたの」
「熱でもあるんじゃないのぉ〜?」
顔を両手で覆ったあたしを心配するようなふたりの言葉に、何も返せなかった。
だって、顔が赤くなる意味があたしにだって分からないから。
嬉しいんだ、色んな桃井くんが見れること。
ただ、本当にただ嬉しいだけなのに。何で顔が、体中が、熱くなるんだろう。
……ねえ、桃井くん。今度って、あるの? 本当に、ある?
あたしは、桃井くんと友達だと思っていいのかな。桃井くんもそう思ってくれてるって、自惚れてもいいのかな。
そしたら、何回でも“今度”があるでしょう?
今のあたしにとって、桃井くんとの“今度”が何よりも楽しみで、待ちきれない。
この日から、今日は負けないと言っては葵と純に勝負を仕掛けて、心の中で「負けろ、あたし」と祈っていた。
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