それでも君と、はじめての恋を


「今日1組早かったの?」


上履きからローファーに履き替えていると、桃井くんは「うん」と言って傘立てから腰を上げる。


見上げると、桃井くんは生徒玄関の真正面にある校庭を眺めていた。


……きれいな顔、してるよなぁ。


ジッと見てると桃井くんは気付いたのか、目が合った。でもすぐに顔を逸らして、傘立てに置いてあったカバンを持つ。


「……行く?」

……桃井くんって、もしかして人に見られるの苦手?

「うん、行こうっ!」


あたしがお詫びの品を持ってった時も、すぐに目、逸らされたもんな。

そんなことを考えながら、あたしと桃井くんは並んで歩き出した。


「どこでやる」

「あ、そっか!」


桃井くんが校門のところで立ち止まって、あたしも思い出したように立ち止まる。


勉強教えてって言っただけだから、場所まで考えてなかった。


どうしようかと考えていると、横を通り過ぎる生徒たちがあたしと桃井くんをチラチラと見ていることに気付く。
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