それでも君と、はじめての恋を
「……?」
あ、そっか。
桃井くんが誰かといるのがめずらしいのか。っていうか初めてだよね、多分。
「……桃井くん、お腹空いてる?」
顔を覗いて聞いたあたしに、桃井くんは「……減った?かも」と答える。
その答えにニヤリと笑って、桃井くんのカバンの紐に手を伸ばした。
「じゃあ、マック行こう! そこで勉強教えてっ!」
「え、ちょっ……」
強制的に体を引っ張られた桃井くんは、慌てたように足を前に進める。
あたしは掴んでいた紐を離して桃井くんの隣に並ぶと、フフッと笑いをこぼした。
それに気付いた桃井くんは、困ったような、不思議そうな表情を見せてくる。
「んーん。何でもない」
そう笑うと、桃井くんはちょっと納得いかなそうだったけど、前を見て歩き出した。