それでも君と、はじめての恋を
ああ、本当に。
好奇心とか、そんなことより前に。
あたしはいつから、桃井くんのことばかり考えていたんだろう。
知りたい、近付きたい、仲良くなりたいと思って。新しい発見がある度、ニヤけて。
何気ない優しさに胸が締め付けられて。その理由が分からなくて。なのに顔を赤くして。
これじゃあまるで、恋してるみたいじゃん。
気付いた途端、顔は真っ赤になって。それは当たりだと、顔の熱さが、速まる鼓動が、証明していた。
「初だ……」
両手で顔を覆って深い溜め息をつくと、桃井くんの視線を感じた。指の隙間から盗み見ると、桃井くんは不思議そうにあたしを見ている。
す、好きすぎる……!
本気で可愛いんですけど、桃井くん……。
顔を覆うのをやめると、桃井くんはスッと視線を逸らす。
本当にもう。目を見て話すことに慣れてほしい。なんて、早速わがままだけど。
気付いちゃったんだから、仕方ない。
「桃井くん」
あたしが今1番仲良くなりたい人は、あたしの好きな人に変わった。でも、近付きたいと思うのも、知りたいと思うのも、変わらない。
「メアド、教えて」
今日1番の、桃井くんの驚いた顔。
――まだ知らない表情を、もっと見せて。