それでも君と、はじめての恋を
「あ、あの……」
って、駄目だよね。
まだ早い? でも、でも……。
「何?」
いつもならすぐ逸らされる瞳が、ジッとあたしに向けられる。
今までどんなに恥ずかしくても、あたしが言葉を濁すってなかったから不思議に思ってるのかもしれない。
「えっ、と……」
今更何でもないと言えないのは、この機会を逃したら、もうこんなチャンスはないかもしれないと思ったから。
……違う。今だからこそ、言えるものだと思った。
怪しまれず、かつ自然の流れみたいに、グッと距離を縮められるんじゃない!?
いつのまにか俯いてしまった顔が、熱い。
なんだってこんなに緊張しなきゃいけないんだか。これじゃあ、自然どころか不自然じゃん。
あたしは勇気を振りしぼって、決心して、勢い良く顔を上げる。
少し驚いた顔をした桃井くんが目に入ったけれど、それを気にしてる余裕はすでになかった。