それでも君と、はじめての恋を
▽3歩進んで1歩後退
1月下旬。学年末テストが終わって、あたしの手には最後の答案用紙。毎回赤点だった英語が返されて、これで全部の返却が終わった。
「62点!?」
「ぎゃー! 勝手に見ないでバカ純!」
答案用紙をグシャッっと握ってしまって、横から覗いてきた純を睨む。
「渉、ほんとに勉強したんだぁ~」
「62? 凄いじゃん」
自分の答案を折りたたみながら席に戻ってくる葵に視線を移して、眉を寄せる。
「葵は何点?」
聞かなくても分かるけど、自分のがバレたからには知りたい。
葵は答案用紙を開いて、あたしの顔の前に差し出す。
「「94!?」」
あたしと純の声がハモって、葵はまた答案を折りたたんだ。
「七尋に教えてもらったからね」
「いやぁ、教えてもらわなくても葵は出来る子じゃ~ん。渉と違って」
ケタケタ笑う純を殴りたいとこだけど、言ってることは正しいから我慢する。
純がバカだったらいいのにと思ったけど、そこまでバカじゃないから余計腹立たしい。