それでも君と、はじめての恋を


「……遠いな」


ポツリと呟くと、寂しくなる。


1組と7組は離れ過ぎていて、めったに逢えない上に合同授業も一緒になれない。


あのテスト勉強以来2回ほど逢ったけれど、ほとんど勉強を教えてもらっただけで、まともに会話らしい会話をしていない。


……まぁ、当たり前っちゃそうなんだけど。


ふと右の壁に貼ってあるテスト日程表が目に入って、それをベリッと音を立てて剥がした。


冬は寒い廊下側の席、唯一の特権だと勝手に思ってる。


他にも手作りの時間割や、純のよく分からない落書き、体育祭や文化祭の写真。葵の横には、小さいカレンダーやプリクラなんかも貼ってある。


「あ、こら矢吹! 壁に張るなって言ってるだろー」

「無理でーす」


先生の注意を適当に流して、あたしは日程表を丸めて欠伸をする純の頭に投げつけた。


「何すんだよ渉ぅ~」

「葵、今日一緒に帰れないや」

「無視、反対!」


振り向いたあたしを葵はいつも不思議そうに見るのに、今日は口の端を上げている。
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