それでも君と、はじめての恋を
「……今度は何したわけ?」
「あっれぇ? 渉、髪色明るくした? 可愛いじゃぁ〜ん」
人の話を聞かないで、誰にでも言うであろう言葉を挨拶変わりにするのは池田 純(いけだ じゅん)。
癖っ毛で長めの髪に、黒いヘアバンド。ワイシャツのボタンを3つも開けて、首元にはネックレスが光る。
見るからにチャラい。実際とんでもないプレイボーイなんだけど。
葵が言った最適な奴とは、純のことだと思う。
「超怖かったぁ〜。あたしとあの子どっちが大事なのよー!とか言われても、どっちもだよ!って感じだよねぇ?」
……絶対アドバイスされたくないんですけど。
隣の机に財布しか入ってないカバンを置く純から目を逸らすと、一緒に溜め息が出る。
「どしたの渉〜。まぁた経験豊富~って持ち上げられたの?」
「バカ、やめてよ」
ぐしゃぐしゃと大きな手で頭を撫でてくる純の手を避けると、葵が肯定するように笑った。