それでも君と、はじめての恋を
「赤点取らなかったお礼しに行くんでしょぉ~?」
「勉強、教えてもらってたもんね。マックで」
口の端を上げるふたりに、サーッと血の気が引く。
あれ……モモとの勉強会は話してないはずなのに……おかしいな……。
「俺らが付いてっても、問題ないよねぇ?」
「もちろん紹介してくれるでしょ?」
「はは。何言ってんの……おふたりさん」
誤魔化そうとすると、純と葵は視線だけ見合わせて再びあたしを間近で見つめてくる。
「何言ってんのって。そりゃあ~……ねぇ?」
「渉の、初恋の君だし?」
ボッと顔が赤くなって、あたしはふたり押し返して勢いよく立ちあがった。
「そんなんじゃない!」
「矢吹! 池田も優木もさっきからうるさいぞ! 座れ!」
「だって先生!」
「「はーい」」
先生からふたりに振り向くと、純は大人しく座って葵は頬杖をついてあたしを見上げている。
その瞳はけっして笑っていないのに、口元は笑っているのを見て背筋がゾッとした。