それでも君と、はじめての恋を


「矢吹ー、早く座れ。何なんだ、反抗期か」


先生の言葉と笑うクラスメイトに黙って座る。頭で考えても、どうすればいいか分からなかったから。


……黙ってたのが悪かった? だって、ふたりともモモのこと好きじゃないじゃん。


モモのいいところ、分かってほしいって思ってたけど……。


こんないきなり!? あたしでさえまともに話せないのに!? いや話せるけど、肝心のモモに社交性とか……。


「……」


あたしは机に肘をついて顔を覆う。困惑と、脱力が一気に襲ったから。


言っちゃなんだけど、モモに社交性は無いに等しいんじゃ……。


受け答えはするけど、会話を続かせようとか、盛り上げようとか、そんなことは考えていない気がする。


だって純と葵に会わせたモモを想像してみたけど、無表情しか浮かばない。でもモモがにこやかに純と葵と話すなんて、まるで想像がつかない。


左に座る純も後ろに座る葵も見れないまま、あたしは逃げるかモモに承諾を得るか、必死に考えていた。
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