それでも君と、はじめての恋を
*
「はぁぁぁああ……」
放課後の1組の前で、あたしは長ーい溜め息を吐く。
結局答えなんか出なくて、モモを誘いに来てしまった。
というより……清掃時間になってすぐに葵と純に「放課後、教室で待ってるから」と笑顔で言われて逃げ場を失った感じ。
あたしはモモを誘って、遊べるようだったら葵と純も一緒にいいか聞かなきゃいけない。
胃が痛い気がする。むしろ吐きそう。
今日は7組のほうが早く終わって、1組はまだホームルーム中だった。後ろのドアから見えるピンク色の髪を見てから、自分の顔を鏡で覗く。
特にメイクも髪も崩れてないのに、この待ってる間でちょっとでも崩れはしないかと心配。
……いつも気にするのは体育のあとくらいなのに。
そんな自分が恥ずかしくて鏡をカバンにしまっていると、ちょうど1組のホームルームが終わったらしくガタガタと席を立つ音と生徒の声が耳に入る。
顔を上げると教室を動き回る生徒に見え隠れして、モモがまだ席に座ってるのが見えた。
ガラッとドアが開いて、前や後ろから出てくる1組の人に見られつつ、あたしは一息ついて1組に足を踏み入れる。