それでも君と、はじめての恋を


「まあ仕方ないでしょ」

「んだね〜。その外見じゃね~」

「外見で中身まで判断されちゃ困る!」


――そう、あたしが経験豊富だと勘違いされるのは、どうやら見た目が派手だから。


ランダムに巻いた胸下まであるハニーブラウンの髪に、濃いメイクと派手なネイルがあたしの鉄板。


これは全部ふたつ上のお洒落でギャル好きの兄に、昔から事あるごとにプロデュースされていた結果だったりする。


今の自分が嫌いなわけじゃない。むしろ今更お姫様みたいになったり清楚になったりする方が無理で、似合わなすぎて笑える自信まである。


だから、高校に入学する時も変わらないままだった。


おにぃがいるせいか男子とも気軽に話せるし、男友達も多い方だと思う。


だからと言って男子の気持ちが分かるわけじゃないけど、小さい頃からおにぃの友達と一緒に遊ぶことも多くて、彼らの恋愛事情や恋愛観を見聞きする機会も多かった。


そんなあたしを経験豊富だと周りが思い込み……朝の、あの状況になってしまう。
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