お前じゃない
 その時、丁度浴室から久美子が出てきた。


「お先にお風呂頂きました。私今日はもう部屋に行きますね」


 元気のない久美子は一言告げ、部屋に入って行った。

 男五人も、しばらく黙々とビールを飲んでいたが、それぞれの部屋に戻る事にした。

 ハルは部屋に入り、カギを閉めようとしたら壊れていて閉められなかった。

 そっか、この部屋だけカギが壊れてたんだっけ。まあいいか、女性だったら問題だけど、男だしなぁ。

 ハルは対して気にもせず、ベッドに横になったが、二宮が言っていた様に、ハルも同じ事を考えていたので、社長の死因は何なのかと考え出し眠れなかった。


 トントントンっ!


 部屋のドアを控えめにノックする音が聞こえたので、開けると、二宮が立っている。


「二宮さんどうしたんですか? もしかしてヨーグルト食べたいとか?」


「いや、悪いんだけど、部屋代わってくれないか?」


 二宮さんが部屋を代わって欲しいなんて、何でだろうとハルは思い、話しを訊くと、隣りの部屋で寝てるポッコリ殿の、イビキがうるさくて眠れないらしいのだ。ハルは音があまり気にならず、何処でもすぐ眠れる事をみんな知っているので、ハルに頼みにきたという訳だった。
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