お前じゃない
「ああ。ハルがさっき別荘内は全部調べたんだ。だから別荘の中は安全だ。戸締りさえきちんとしてればさ!」


 だいちゃんが、やわらかい口調で説明をすると、ポッコリ殿と坂上は安堵した様子だった。それでも久美子だけは、俯いたままだったが、全員朝から何も食べていなかった事もあり、食堂へ向かった。


「冷めちゃったね。私作り直してくる」


「俺も手伝うよ」


 元気のない久美子を気遣い、だいちゃんが声をかけ、二人でキッチンに向かった。

 食堂に残ったハルとポッコリ殿と坂上は、二宮が殺された件を話し始めた。


「そういえば、二宮さんが殺された部屋だけカギが壊れてたんだったっけな」


「ああ。殺人鬼は全員を殺すつもりで部屋に入ろうとして、二宮が寝てる部屋だけ、カギが開いていたから、犯行に及んだんじゃないか? そうでなきゃ二宮だけが殺された説明がつかない。」


 坂上の言葉に、ポッコリ殿が推理した。

 ハルは何も言わず、本当に殺人鬼は全員を殺すつもりだったんだろうか?
 どうしてかは分からないが、腑に落ちない気持ちでいた。

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