背徳の天使
 窪田は、取引は四日後だと青山に伝えた。


 本来の俺なら、こうなる前に…情報がサツに漏れる前に、窪田を殺ってたさ。


 それが出来なかったのは、窪田に惚れてたから。


 少しでも長く…ギリギリまで、ヤツと一緒にいたかった。







 取引当日。


 サツが仕掛けた罠を回避する手筈は整えた。


 俺は薬を積んだ車を送り出すと、予定通り、ヘリに拾われるべくビルの屋上へ…


 そこへ、あらかじめ用意しておいた人質と屋上の端に立った。







 いつも『死』を願っていた窪田…






 『生』への希望を持たない俺は…


 そんなお前に共感し、余計に惹かれたのかもしれない…







 最後に、俺がこの手でお前の『生』を終わらせてやろうと思った。








 お前をその『苦しみ』から解放してやろうと…








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