背徳の天使
 こうして…


 いつも俺は京子に守られていた。


 京子が男で俺が女だったら良かったのに…


 ほんとは…俺が京子を守らなきゃならないのに… 


 無力な自分が憎かった。


 『この世から消えたい』


 俺はいつもそう思ってた。














 俺と京子は、生まれてまだ間もない頃、今いる施設の玄関先に捨てられていた。


 二人一緒に、一枚のバスタオルにくるまれて…


 まるで人形か何かのように…




 その時すでに






 俺たちの命の重さなんか決まってたんだ。


 




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