ヒーロー先生
鞄を左肩に掛け廊下を歩きながらひとり欠伸を零す。昨日は入学以来の不可解な出来事があったが今日はそんな嵐にも地震にも見舞われること無く穏やかに1日を終えることが出来た。因みに今日は国語の授業が無い為国立先生とも会うことが無かった。
下駄箱から靴を入れ替えようと手を掛けたとき、僕の名字が点呼された。
躍動感溢れる跳ねた髪に緩く結ばれている青色のネクタイ。ストライプの入ったジャケットを着ている僕の数学担当教師、数成先生だった。そういえば国立先生とは全くの対照的な人間だな、と頭の端で考えつつ何ですかと返事をした。
「ちょっといいか?」
ため口でぶっきらぼうなのは入学してから未だ継続中なのでそういう人間なのだろう。鞄を肩に掛け直してから下駄箱から手を離し、数一先生の後について行く。ひとつ階段を上がり到着場所は先程まで居た我がクラス、1年A組の教室だった。補習は無い筈だし、忘れ物でもしたかと思案しながら数成先生の後に続き入室する。
「連れてきたぞー」
入室して気付く。そこに居たのは国立先生だった。自然と頬の筋肉が引きつる。
窓側から2番目の前から2番目に着席している国立先生は僕と目が合うなりニッコリと笑みを飛ばしてくる。
「こんにちは阿藍君」
名字を呼ばれ我に返る。心なしか白々しい挨拶に聞こえた。
「こんにちは国立先生、何の用ですか?」
昨日の出来事の効果が発揮され、早くこの国立先生の目の前から立ち去りたい念が押し寄せる。自ら早速本題を切り出すのを数成先生が横目で見た気がした。苛ついているようにでも見えてしまったのだろうか。国立先生は起立し僕に向かって前進しながら用件を告げる。
「何を隠そう昨日の件さ」
「どの件ですか」
「またまたー」
いや何がまたまたなんだ。昨日といい今現在で完全に知的で落ち着きのある国立先生の印象が塗り替えられた。
僕の側に居た数成先生は肩を揺らし溜め息をついた。
下駄箱から靴を入れ替えようと手を掛けたとき、僕の名字が点呼された。
躍動感溢れる跳ねた髪に緩く結ばれている青色のネクタイ。ストライプの入ったジャケットを着ている僕の数学担当教師、数成先生だった。そういえば国立先生とは全くの対照的な人間だな、と頭の端で考えつつ何ですかと返事をした。
「ちょっといいか?」
ため口でぶっきらぼうなのは入学してから未だ継続中なのでそういう人間なのだろう。鞄を肩に掛け直してから下駄箱から手を離し、数一先生の後について行く。ひとつ階段を上がり到着場所は先程まで居た我がクラス、1年A組の教室だった。補習は無い筈だし、忘れ物でもしたかと思案しながら数成先生の後に続き入室する。
「連れてきたぞー」
入室して気付く。そこに居たのは国立先生だった。自然と頬の筋肉が引きつる。
窓側から2番目の前から2番目に着席している国立先生は僕と目が合うなりニッコリと笑みを飛ばしてくる。
「こんにちは阿藍君」
名字を呼ばれ我に返る。心なしか白々しい挨拶に聞こえた。
「こんにちは国立先生、何の用ですか?」
昨日の出来事の効果が発揮され、早くこの国立先生の目の前から立ち去りたい念が押し寄せる。自ら早速本題を切り出すのを数成先生が横目で見た気がした。苛ついているようにでも見えてしまったのだろうか。国立先生は起立し僕に向かって前進しながら用件を告げる。
「何を隠そう昨日の件さ」
「どの件ですか」
「またまたー」
いや何がまたまたなんだ。昨日といい今現在で完全に知的で落ち着きのある国立先生の印象が塗り替えられた。
僕の側に居た数成先生は肩を揺らし溜め息をついた。