ヒーロー先生
昨日告白した女子生徒は1年B組の告竜さんと言い話に寄れば人見知りの恥ずかしがり屋らしい。対する男子生徒は2年B組の確か野球部所属の性格が良いと評判の旧野君。あの断り方からすればその評判さは間違い無いと思う。そして2人の相性は決して悪くはないとぼくは見た!

饒舌に話す国立先生にが紙に描いたのはその2人の似顔絵らしきものとその2人をお目出度くさせる為の作戦だった。絵の才能については敢えて触れないで置こう。各ご想像にお任せする。紙の上部には「レッツ青春☆恋の応援をしよう大作戦!」と何ともそのままなタイトルが付けられている。横目で数成先生を見ると呆れ顔でボールペンの進む先を見つめていた。きっと苦労していたんだろうと同情してみる。
それにしてもあの女子生徒が隣のクラスの子だったとは。B組には親しい友人がそんなに居ず顔を出さない故に知らなかった。

「作戦その1、お弁当を作ってあげよう」
「普通だな」

作戦を口に出す国立先生への数成先生のコメントに内心同意する。どんな突飛な作戦が出るかと思っていたら案外普通の作戦で逆に拍子抜けした。
手料理効果は強いだろうと数成先生に熱弁する国立先生にそれを適当に流す数成先生。確かに作戦は普通ではあるが大きなアピールになることは確かだと思う。だがその前に初歩的な疑問が浮き彫りになってくる。

「まず作戦云々よりその本人である告竜さんに協力の承諾を得たんですか?」

僕の質問に手を止める国立先生。その国立先生を訝しげに見据える数成先生。暫しの沈黙。

「…得てないや」

困ったように笑う国立先生に数成先生は「本人知らずして出来るか!」と怒鳴りながら突っ込みを入れた。まずは告竜さんと接触することから作戦は始る。
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