クローバーの約束
そうして、しばらく優しく接してくれて、
出てきたこの話題。
「小唄は、何か好きなもんとかあんの?」
遊磨くんがあたしに聞いたこの一言。
ここからあたしの恋は始まったのかな?
「あたしは、歌、唄うのが好きだから、
歌手になりたいのっ!」
「そっか!じゃあ唄ってみてよ」
「え゙、嫌!」
「…じゃあ、次に小唄ちゃんと僕達が
逢ったときには唄ってくれる?」
その希望を信じてみたかった。
5歳のあたしにはよくわからなかったけど、
この人達に逢えるのなら、
頑張りたい。
「じゃあ小唄!約束しようぜ?」
「何、を?」
「俺達が次に会うときまでに、小唄は
歌手に、零はモデル、俺は俳優!」
「…零くん、モデルになりたいの?」
「遊磨、言わない約束だったろ」
「ごめんごめん、いーじゃん小唄なら!」
「遊磨くんは俳優さん?になりたいんだ」
俳優さんってあんま知らないや。