大好きって言って(輝*かなえ)
「かなえさん!」
そう名前を呼んでみると、かなえさんは泣きそうな顔でオレを見上げた。
「て、る……君」
その声は震えて掠れてて、オレは眉を下げた。
「何してるんですか。こんなに濡れて」
そう問いかけるけて、オレはかなえさんの肩に手を置いた。
すると黒いコートは雨で重みを増して。
いつもサラサラの髪は濡れて綺麗な顔に張り付いている。
桃色の唇は寒さで真っ青で。
白い肌が少し青ざめていた。
その姿を見てオレは酷く胸が痛んだ。
何度か名前を呼んでみるけど、かなえさんは呆然としている。
するとかなえさんは、震えた声で笑顔を作るとオレを見上げた。
「あたし……フラれちゃった」
「え?」
想像してなかった言葉を聞いて、オレは声が掠れた。
かなえさんはオレ見てもう一度笑顔を作るけど。
また俯いてしまった。
「一生懸命尽くしたしっ」
わざと声を張る。
「こまめに会ったし」
かなえさんの声が掠れる。