大好きって言って(輝*かなえ)



「我が儘だって言わなかったし……」




かなえさんの声が震える。




「いっぱい……いっぱい……頑張ったんだけどっなぁ」




必死で涙を堪えながらかなえさんは言った。
するとかなえさんは泣きながら笑った。




「頑張って……たのに……」




雨が激しさを増す。
オレ達は雨に打たれたまま俯いた。
そして涙を堪えられなくなったかなえさんは手で顔を覆った。




「頑張ったけど……好きになってもらえなかった」




「かなえさん……」




泣いているかなえさんを見たら、オレはいつの間にかかなえさんを抱きしめてた。




何をしてあげられるかなんて分からない。
何を言ってあげたらいいのかも分からない。
この先どうなるのかも分からない。




でも……ただかなえさんをギュッと抱きしめた。




「今はオレの胸で泣いてください……。全部受け止めますから」




「ごめっ……輝っくん……ごめん……」




何で謝るのか分からない。
でもオレの背中に腕を回すかなえさんの腕のぬくもりは分かった。



< 12 / 20 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop