大好きって言って(輝*かなえ)
「我が儘だって言わなかったし……」
かなえさんの声が震える。
「いっぱい……いっぱい……頑張ったんだけどっなぁ」
必死で涙を堪えながらかなえさんは言った。
するとかなえさんは泣きながら笑った。
「頑張って……たのに……」
雨が激しさを増す。
オレ達は雨に打たれたまま俯いた。
そして涙を堪えられなくなったかなえさんは手で顔を覆った。
「頑張ったけど……好きになってもらえなかった」
「かなえさん……」
泣いているかなえさんを見たら、オレはいつの間にかかなえさんを抱きしめてた。
何をしてあげられるかなんて分からない。
何を言ってあげたらいいのかも分からない。
この先どうなるのかも分からない。
でも……ただかなえさんをギュッと抱きしめた。
「今はオレの胸で泣いてください……。全部受け止めますから」
「ごめっ……輝っくん……ごめん……」
何で謝るのか分からない。
でもオレの背中に腕を回すかなえさんの腕のぬくもりは分かった。