大好きって言って(輝*かなえ)
泣きながらオレにしがみ付くかなえさんの頭をオレはずっと撫で続けた。
抱きしめる力も弱めずに……。
オレはずっとかなえさんの話を聞いた。
そしてかなえさんが落ち着いた頃……。
オレは口を開いた。
「かなえさん……オレの失恋話聞いてくれますか?」
そう言うとかなえさんはオレの胸に顔を埋めながら頷いた。
だからおれはギュッとかなえさんを抱きしめて口を開いた。
「オレ……最近。失恋したんです」
するとかなえさんはゆっくりと顔を上げた。
「初恋だった……。大失恋でした」
小さい頃からずっと……好きだった。
「でもその子も。オレと同じようにたった1人の人を思い続けてた」
キュッとオレの背中にかなえさんはしがみ付く。
「叶わないのは分かってた。でも止められなかった。好きで好きでしょうがなかった」
そう言ってオレは、オレを見上げるかなえさんに微笑んだ。
そしてまた視線を逸らすと、口を開く。
「そしてその想いはやっぱり届かなかった」
「輝君……」
「気まずくなって距離を置いて。でも仲直りできたのに。今でもモヤモヤガ晴れなくて。心の隙間は埋まらなかった」