虹の都へ
いつの間に起きたのか、虹はソファーに座っていた。

「そりゃ、起きますでしょ。

仕事ありますし」

虹はソファーから腰をあげると、こっちにきて瀬名さんの隣に腰を下ろした。

「生意気なのは、相変わらずね」

からかうように瀬名さんが言った。

「すみませんね、生意気で」

虹が笑いながら言い返した。

敬語なのは、瀬名さんが先輩だから。

仲がいいのは、先輩と後輩だから。

そう、自分に言い聞かす。

「瑞希、飯はまだか?」

虹に言われ、あたしはハッと我に返った。

「ああ、すぐ作るよ…」

あたしはそう言った後、フライパンに火をつけた。
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