虹の都へ
何で虹の顔が浮かんだのか、自分でもよくわからない。

虹はルームメイトのはずなのに。

「まあ、何にもないんだったらいいけど」

そう言った柊くんの顔は、どこか寂しそうだった。

何でそんな顔してるんだろ?

「って言うか、早く食べた方がよくね?

バイトに間にあわねーよ?」

「えっ?」

あたしはカバンから携帯電話を出して、時間の確認をした。

「わあっ!」

すでに迫ってきている時間に、あたしは大急ぎでラーメンをすすった。

「高橋、急いで食べるのは躰に悪いぞ」

そう言っている本人も、大急ぎで親子丼をかきこんでいた。
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