虹の都へ
急に走ったから、息があがっているのだろう。

「向こうで瑞希ちゃん見かけてね、声かけちゃった!」

楽しそうに笑いながら、瀬名さんが言った。

「瑞希ちゃん、今帰り?」

「えっ?

…ああ、はい。

瀬名さんもお仕事の帰りですか?」

「そうよ」

そう言って、瀬名さんは人懐っこい笑顔を見せた。

先輩と後輩の上下関係なしで仲良くしたい、そう思えるくらいの笑顔だった。

「瑞希ちゃん、この後用事ある?」

「特にありませんけど?」
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