虹の都へ
聞かれて、あたしは喉がカラカラだったことに気づいた。

「はい」

返事したその声は、少しだけしゃがれていた。

瀬名さんについて行くように歩いて行くと、バーカウンターが見えた。

瀬名さんが椅子に腰を下ろしたのと同時に、あたしもその隣に腰を下ろした。

「マスター、いつものね」

なれていると言った様子で、瀬名さんは早速注文をした。

その様子を見ていたら、
「お嬢ちゃんは?」
と、声をかけられた。

あたしは困ってしまう。

お酒のことなんて、あんまり知らない。

それに何より、バーにくること自体も初めてだし…。
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