虹の都へ
カタンと、瀬名さんはテーブルのうえにカクテルを置いた。

「ねえ、瑞希ちゃん」

「はい」

「私の勘違いだったら、申し訳ないんだけど…」

瀬名さんは言いにくそうに目を伏せた後、
「虹のことが好き?」

その瞬間、遮断されたように周りの音が聞こえなくなった。

今、何て言った…?

聞き返そうとした時、頭の中でリピートされる。

――コウノコトガスキ?

あたしが虹を好き、って…?

質問の意味がわかった瞬間、あたしは大きく首を横に振った。
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