虹の都へ
「ち、違いますよ!」

口ではそう言っていても、心の中ではパニックになっていた。

「あたしが、虹を好きな訳ないじゃないですか!」

声が大きいのは、動揺からなのか。

「虹とはただのルームメイトですし、だから」

「無理しなくてもいいのよ」

瀬名さんが言った。

あたしは何も言えなくなる。

気まずい沈黙。

そうさせてしまったのは他でもなく、このあたしだ。

どうすればいいの…?

沈黙に耐えられなくなった時、
「高橋?」

その声にハッとなって振り返ると、
「柊くん…」
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