虹の都へ
何気なく空を見あげれば、真っ黒だった。

あたしの知らないところで、いつの間にか時間は過ぎていたらしい。

「瑞希?」

その声に振り返ると、
「虹…」

会社帰りなのか、スーツ姿の虹がいた。

「こんなところでどうした?」

あたしがいるのが不思議とでも言うように、虹は驚いた顔で尋ねてきた。

「虹こそ、今帰りなの?」

「これが途中で帰ってきたように見えるか?」

「そう言ってる訳じゃないんだけど…」

虹と言いあっていた時、
「知りあい?」
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