虹の都へ
そりゃ、あなたのお兄さんは虹の先輩だもん。

知らない訳ないじゃない。

そう思った時だった。

「――いい加減にしなさいよ!」

悲鳴のような怒鳴り声が聞こえた。

「裏だ!」

虹が走って行く。

「えっ、ちょっと!」

虹の後を追うように、あたしも走った。

虹を追って、ついたところは裏通りだった。

「別れるって言ってるじゃないの!」

さっき聞いた悲鳴のような怒鳴り声に、あたしの躰が震えた。

恐る恐る、その場を覗いて見る。
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