虹の都へ
瀬名さん、だった。

「そんなの、聞いてないぞ!」

瀬名さんをなだめるように言ったのは、おそらく柊くんのお兄さんだろう。

顔立ちがよく似ているから、一目でわかった。

2人を見た後、あたしは隣で立っている虹を見あげた。

まるで信じられないものを見たと言うように、虹は2人を見ていた。

――熟年夫婦みたいな2人だから

いつかの、虹が言ったことを思い出した。

虹からして見れば、憧れの存在の2人。

ショックも、同然なのかも知れない。

「もう雅人なんて知らない!」
< 132 / 295 >

この作品をシェア

pagetop