虹の都へ
ヒステリックに瀬名さんが叫んだかと思うと、走り出した。

「涼子!」

その呼び声が聞こえてないと言うように、瀬名さんは走っていた。

ダッ!と、あたしの隣で何かが走り出した。

虹だった。

虹は、瀬名さんの背中を追っていた。

瀬名さんが、好きなんだ。

その様子から、改めてそう思ってしまう。

瀬名さんのことは、虹に任せればいい。

そう、思った。

けど気がついたら、あたしは走り出していた。

……何でなの?
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