虹の都へ
瀬名さんのことは、虹に任せるって決めたのに…。

あたしには関係ないから。

そう思ったのに、あたしは走り出していた。

虹の背中は、見えなくなっているのに。

それをつい、探してしまう。

虹…。


虹を見つけたのは、大通りについてからだった。

その光景を見たあたしは、絶句する。

虹の胸にもたれかかるように、瀬名さんが泣いていた。

彼女を退くこともせず、虹は背中をなでながら慰めていた。

何も、言えない。

その代わりとでも言うように、ズキンとあたしの胸が痛んだ。
< 134 / 295 >

この作品をシェア

pagetop