虹の都へ
ベンチに腰を下ろしたあたしに、柊くんも隣に腰を下ろした。

ほんの少しだけ空いた距離。

その距離を見つめていた時、
「何かあったのか?」

柊くんが言った。

その瞬間、ズキンとあたしの胸が痛み出した。

そんなあたしに気づいたのか気づいてないのか、
「別に、無理に言わなくてもいいから」
と、柊くんが言った。

「高橋が言いたくないんだったら、俺は聞かない。

高橋自身が、1番つらいと思うから。

それに」

柊くんはしゃべり過ぎたと言うように呼吸をすると、
「高橋のつらいところを見るのは、俺もつらいから」
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