虹の都へ
「俺じゃダメか…?」

うっかりしたら聞き逃してしまいそうなくらい声で、柊くんが呟いた。

えっ…?

言われたあたしは、言った意味がよくわからなかった。

「俺じゃ、高橋とつきあえない?」

その意味がようやくわかり、あたしはさらに戸惑った。

柊くんとつきあう…?

その意味は、頭の悪いあたしでもわかっている。

「そんな…」

唇から出てきた言葉は、これだった。

そのうえ、震えていた。

あたしは、虹が好き。

でも虹は、瀬名さんが好き。
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