虹の都へ
戸惑うばかりで、あたしは何もできない。

「高橋に、好きなヤツがいることはわかってる」

戸惑うあたしに、柊くんが言った。

「俺じゃ、高橋の好きなヤツの代わりにはなれないことも」

そんなことを言って欲しい訳じゃなかった。

でも、虹と柊くんは別の人。

落ち着いた虹と、優しい柊くん。

同じ男でも、2人は別の人。

「けど高橋がつらいところを見るのは、見たくない」

柊くんは、どこまで優しい人なのだろう。

こんなあたしに、優しく微笑んでくれる。

虹の代わりに、柊くんとつきあうことはできない。
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