虹の都へ
柊くんの気持ちを踏みにじってしまうから。

だから、つきあえない。

「すぐにとは、言わない」

あたしの気持ちを察したのか、柊くんが言った。

「すぐにつきあって欲しいとは言わない。

高橋が忘れられるまで、待つから。

高橋が好きなヤツを忘れるまで、俺は待つ」

小さな子供を諭すように、柊くんが言った。

あたしが虹を忘れられるまで…。

「…いいよ」

気づけば、あたしは言っていた。

「あたし、柊くんとつきあうよ」

そう言ったあたしに、柊くんは優しく微笑み、抱きしめた。
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