虹の都へ
これで……これで、いいんだ。

虹の代わりに柊くんとつきあうなんて、あたしは最低な行為をしている。

2人に対しての罪悪感が、あふれてくる。

けど、これでいいんだ。

今は、虹を忘れたい。

目の前にいる、柊くんを見ないと。

柊くんは優しいから、あたしの中の虹の思いを消してくれる。

忘れてくれる。

それが最低の行為でも、構わない。

目を閉じると、柊くんの匂い。

その匂いを鼻で感じながら、乾いた頬に一筋の涙をこぼした。
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