虹の都へ
虹、まだ帰ってきてないんだな。

リビングに行き、電気をつける。

壁の時計を見ると、10時を過ぎていた。

「マジで時間の経過が早いし…」

ポツリと呟いた言葉は誰にも聞かれることなく、静かに消えて行った。


熱い雨のようなシャワーが、頭の上にかかってくる。

「…ッ…」

何でか知らないけど、泣けてきた。

もう、何泣いてんのよ。

あたし、バカじゃない。

「瑞希?」

その声に、ビクッとあたしの躰が震えた。

虹が帰ってきた。
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